Google揉め事を整理しましょ(2)

Googleの持ち出してきた「Subpoena」について話をしてんだけど、これって「Fair Useを立証するんだ」っていう建前とともに、「合法的にライバルのプロジェクトを丸裸にしてやる」っていう「裏」があるんじゃないか、って流れね。「裏」については、これまで何度か書いてきたから、今回は「建前」に集中ね。


Googleの主張は、「GoogleスキャンプロジェクトのIndexingはFair Useなんだ」ってこと。


そんで、「Fair Use」だってことを立証するためには、『こちら』でも紹介したように、4つのポイントがあるわけ。でもね、Jonathan Kerry-Tyermanさんも言ってるし、その他、いろんなやつ見たけど、結構、普通に受け入れられてる考え方として、

the fourth factor is generally regarded by both commentators and courts as the most important in the fair use analysis.
http://stlr.stanford.edu/STLR/Articles/06_STLR_1/KT-fair%20use.pdf

っていうことで、「ポイントは4つあんだけど、一番重要なのは4番目ね」ってこと。なんだ、早く言ってよ。要は、「ポイントは1つ」ってことね。


じゃ、4番目のポイントってのは何かっていうと、

(4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響
http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america_c1a.html#107

っていうわけで、要するに「その本を書いた人にとって、どんなメリットがあんの?」ってこと。直接的な話をすれば、「その本の売上はどうなんの?」ってことだろうし、間接的には「有名になれる?」「読んでもらえる?」ってことも含めていいんじゃないかな。


ということは、この4番目のポイントをちゃんと立証するためには、「GoogleがIndexingをする前には、誰にも読まれずホコリをかぶってた本が、Indexingされたおかげで読まれましたよ、って事例がどんくらいあんのか」っていう統計でも提出すれば良い。そんで、次のような感じの議論をすることになるわけ。

『アマゾンの全文検索で本の売上は落ち込むか』
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000794.html


ところが、出版社側は「IndexingがFair Useかどうか」、なんていう点を争わない。というか、「そこに焦点があてられると、ちょっと不利かな」って考えるんじゃないかな。だから、その前の段階で、「Indexingするために、本を全部スキャンするでしょ、それってサーバー内にコピーができるじゃん、そこの段階で著作権をすご〜く侵害してるよ」って言い張る。


重要なので繰り返しておくけど、Googleは「IndexingがFair Useだ」って主張して、出版社とかは「スキャンする時点で著作権侵害」って主張するわけ。ということは、Googleとしては、この一連の裁判で、まず、「スキャンする時点で著作権侵害だって言うのはおかしくないか」って争って、その次に「IndexingはFair Useだ」って争うわけ。という流れの中で、9月末にGoogleは、Yahoo!Microsoft、そしておそらくAmazon.comといろんな出版社に対するSubpoenaを手続きしたわけ。*1


次回は、Subpoenaの内容を、上に見てきたような流れの中で整理してみるよ。おおよその内容だけど、「著作権処理なんて大変なはずだから、AもMもYも出版社も、完全な著作権クリアなんてしてないんじゃないの。もししてないとすると、スキャンする時点で著作権侵害だっていうんじゃ、A・M・Yもやばいよ。だから問題は、その使い方がFair Useかどうか、っていうところに集中するべきなんじゃん。Aから提供されるIndexingの経済効果データを見て、IndexingはFair Useだって立証できるじゃない」ってこと。


参考までに、こちらのブックマークに、Subpoenaの資料をブックマークしといたよ。とくに、Subpoena写し(PDF)が見れるから、時間があれば見てみてね。(特にPDFの11〜12ページのSchedule A)

*1:Yahoo!Microsoftは確認とれてるけど、Amazon.comといろんな出版社は未確認なので、注意。