美崎薫さんは「2009年に来る3年後の未来は日々体験ずみ」なんだって


中山さんの「参入障壁論」は、確かに説得力がある。でも、GooglePh.D集団だよ。MBA集団だったら、ほぼ間違いなくそういうことやるだろうけど、世界一の変人企業であるこのPh.D集団が、障壁なんて考えるのかな?また、梅田さんの伝える「グーグルの特異性と強さ」と、「参入障壁論」は、ちょいとばかし、すれ違っているような気がする。


だから、ちょっとだけ、守りの「障壁作り」よりも、攻撃の「逃げ切り作戦」に注目したい。




昨日、「美崎さんは、なんで記憶する住宅なんてもんをつくってんだ?」と疑問した。
そんで、思案中だって言った。その思案が終了したので、書こうと思う。


美崎さんは、この記事の中で宣言する。

Googleジャパンの村上社長は、「2009年にはおそらく、"人類の知"と呼ばれる分野のデータはすべて検索可能になるだろう」と予想した。2006年の現在、すでに美崎薫個人の知は検索可能になっているので、2009年に来る3年後の未来は日々体験ずみである

だったら、美崎さんに聞こう!というのが、昨日考えてたこと。


昨日紹介した2004年記事の中で、

蓄えてどうするのか。・・・「見る」ことが非常に大事だ

とのこと。とにかく「見る」らしい。


今日紹介してる2006年記事の中で

50万枚(の画像)をもっぱらスライドショウで見ていたのだが、このときに気づいたのは、画像は見れば役にたつのであって、検索よりも重要なことがあるということだ。

と言ってる。本当に、もっぱら見てるらしい。しかも50万枚。


なんで、もっぱら見てるかと言うと、

あらゆる情報が瞬時に手にはいるようになったとき、記憶はゆら(ぎ、)・・・新しい感覚を抱いた人間が生まれるだろう

とのこと。ゆらいだ瞬間、新しい発想が生まれる、らしい。(でも酒飲んで記憶がゆらぐのは、ダメらしい。)


でも、スライドショウじゃ、「瞬時に手にはいる」って言わんじゃない?だから、「SmartCalendar」ってのを使うんだって。「SmartCalendar」については、本文参照。ただ、

「SmartCalendar」は、「記憶する住宅」に蓄積したデータを見ることを強力に押し進めてくれる。その結果、アイデアがあふれるように浮かんでくる。アイデアとは、なにもないところから出てくるものではなくて、いろいろなものを組み合わせるとか、ある関係を別のところに当てはめたりすると出てきやすい。

というものらしい。(ここを読み返してた時、外部記憶の井野口さんの「関連するエントリを表示」を思い出した。外部記憶の井野口さんは、「書きっぱなしで忘れてしまっていたものが引っ張り出されてきたり、意外なつながりで出てくるものがあったり(して面白い)」と言ってる。)


「検索よりも重要なことがある」と言う美崎さんも、検索を大切に思ってる。

100万枚にタグづけするに要する期間は、4年程度ですむと考えられる。これができると(検索可能となり)、「うろ覚え」をなくすことができるかもしれない。

こんな生活をしてる美崎さんは、

デジタル技術は記憶を変えようとしている。根本的に。

と感想を述べてる。これが、「2009年に来る3年後の未来」なのかな、と受け止めた。



というわけで、本日の結論:

Googleが図書館の本を電子化すると、これまで「死蔵されがちな紙」に書かれてた体系的知識なるもんが、タグ付けされることで検索可能な状態になる。そんで、私たちの「うら覚え」ってのがなくなる。そんで、メールっていう「記憶」もあちら側に放り込んじゃったし、地図だって、衛星写真だって用意したもらった。「The World's Only WEB」ってのもすでにある。

そんで、次の発言の「コンピュータ」って部分を、全部「Google」に置き換えちゃえば、それなりの結論かな、と思う。

人間が何かに頼って記憶をたぐる。コンピュータは頼りがいのあるツールだ。筆者がそうしているように、これからもコンピュータは人生を記録し続け、人生のパートナーとしての重要な位置を占めていく。

さらに、「本はあまりに個々人の思い入れの強い情報源ゆえに」、人生の記録には必要不可欠の要素だから、「本の電子化ってのはすご〜い費用がかかるんだ」けど、それなりのリターンがあるんじゃないかな。「もう、Googleなしじゃ、生きていけない!」って人が増えるかも。



残されたのは、「アイデアがあふれるように浮かんでくる」ようにするために、あとは「もっぱら見る」ツールを提供してもらわないといけない。美崎さんは、100万枚の画像を見るためにPicasaは役に立たんと言って、自分で作っちゃったから。でも、本当に100万枚も見るのかな?