「誰が読むんだ?」ってものを、Googleだけはコツコツ読んでる


本の電子化について、いろいろ書いてるんだけど、この(日)記が一番言いたいことは、「グーグル(とかYahoo、MSNなど)が本を電子化しているのは、人間が読むためじゃないよ」ってことに尽きる。この点は、かなり誤解されてて、というか過剰に期待されてて、Googleとかが公開する画像を見て、「あれじゃ、とても読めたもんじゃない」っていう人がいる。品質の問題もそうだし、そもそもオンラインで読むことについてもね。

でもね、


この記事にあるように、

Karen Coyle, consultant on digital libraries, somewhat ruefully commented: “Google themselves are the only ones with a clear idea of what they are doing and they state it. They are creating an index to books that exist in hard copy, not trying to create books for reading online. That’s not their primary goal.” Coyle raised the issue of quality, pointing out that there is a “real difference between producing an e-book and scanning to OCR for keyword searches.” This is an issue. The FAQs for Michigan’s MBooks asks users to report bad pages and guarantees plans to go back and fix them. On the other hand, Smith said that Google had no plans to redo books already done.

っていうわけで、「Googleはね、単に本へのインデックスを作ってるんだよ。本をオンラインで読めるようにしてんじゃないよ。図書館としてはオンライン本を作ってるつもりだから、「読めないページがあったら言ってね、すぐに直すからさ」って言ってるけど、Googleはそんなつもりは全然ないよ。一度スキャンしたものは、ページが抜けてようが、指が写り込んでいようが、ピンボケで全然読めなくたって、再スキャンなんてしないよ。」


しかも、Googleは、「ユーザーフレンドリー」なインターフェースなんて用意するかどうかも分からんよ。
その点、Internet Archiveとか、ミシガン大学とかは、人に読ませる目的が一番だから、きっと良いインターフェースを用意してくれてるよ。




ちょっと違った視点で見てみる。


グーグルで、「誰が読むんだ」ってキーワードで検索してみる。662件くらいがヒットする。(検索結果を最後までがんばって読んでみると、「最も的確な結果を表示するために、上の662件と似たページは除かれています。」ってメッセージが出るので、きっとそういうことなんだろうな。)

自分のブログを「誰が読むんだ」ってへりくだってる人もいるし、他人が書いた本/記事などについて、「誰が読むんだ?」ってちょびっと野次ったりしてる人もいる。

でも、「誰が読むんだ」と言いながら、その人は、それを買って読んでたりして、ちょっとだけおもしろい。


高橋がなりさんのサイトに対するコメントで、ユリさんがしているコメントが一番おもしろかった。("Posted by ユリ at 2005年04月08日 18:36")

ええ〜〜〜あのですね。自費出版図書館日本橋)と
いうのがありまして、ご主人のようなリタイアされた方が、
「感動のひとり・プロジェクトX!!」
のような本を出版を受け入れてもらえる所はあります。
自費出版の相談もできると思います。
が、、、しかしここの本は、みなマニアック!!!
誰が読むんだ!というものばかり。。
愛妻との立身出世物語とか、、多摩川の石を源流から趣味で調べた本とか、
全国のデパートの便座を調べた本とか。。。
「誰が読むの???????」ばかり
やはり読み手を想定してない本は「自慰行為」ですよね。

この自費出版図書館ってのが、ある意味Googleのスキャンプロジェクトのイメージに一番近い(はず)。だって、人に読んでもらうわけでもないのに、1500万冊も電子化しようってんだから。(でも、おどろいたことに、この自費出版図書館のサイトに、10万人以上の来訪者がいるんだって。一番下のカウンターってそういう意味だよね?)

ユリさんは、「やはり読み手を想定してない本は「自慰行為」ですよね」って言ってるけど、Googleとかは、まさに「自慰行為」をしてる。Googleの場合、本を書いてるわけじゃないけど、「誰が読むんだ?」ってものを電子化してコツコツ読んでるわけ。しかも全部ね。

そんで、Hebiさんが言うように、

ためておくためじゃなくて無限に消費するために電子化する

わけで、他人が読むわけじゃないけど、Googleは精力的に、彼ら独自の方法で、「読んでる」わけ。