ダミーを追う日本
本日の要約:
「アメリカの後追いでない取り組みをする必要がある」と言ってみたけど、とりあえず、「後追い」。しかもダミーを追ってしまっているような感じ。
しつこいようだけど、今日もスタートは、こちらのページの、”大学図書館等ワーキンググループ”の第14回目。
ワーキンググループの最終回であった第14回に、次のような会話がなされている。
近年グーグルなどによるアーカイビングの動きがあるが、図書館はそれに振り回されているようにも見える。アメリカの図書館等と連携をとりつつ、大学図書館がイニシアチブをとって学術情報流通に関わっていく必要がある、という点を(報告書の)「おわりに」(という章)に入れられないか。
これに対して、以下のような反論がなされた。
事実認識として、アメリカではむしろ図書館がイニシアチブをとって、グーグルなどを利用しているという側面もある。振り回されているのは日本の大学図書館だけのようにも思える。
(この日記は、日本の大学図書館に関係している方も読んでいただいているので、「振り回されているのは日本の大学図書館だけ」という意見について、できれば感想をお聞かせください。)
さらに、この後、会話は続く。
というわけで、最終的な報告書には、
海外の情報検索サービス業者等と大学図書館との連携については、十分に注視し、動向にあわせた適切な対応をとる必要がある。
と書かれている。
ただ、私も最初にこの報告書を読んで、「適切な対応」ってどんな対応だ?って思ったんだけど、やっぱりワーキンググループでも、議論されていた。
「適切な対応」というのはいかにも受身であるので、後追いの対応でない趣旨の記述を「おわりに」などに加えておきたい。
日本の大学図書館が、アメリカの後追いでない取り組みをする必要があるという点は重要なところである。
後塵を拝しているばかりでは困るので、その点を2、3行程度で是非記述していただきたい。
「アメリカの後追いでない取り組みをする必要がある」という部分は、感動した。
でも、これまでにも何度か紹介しているが、最終報告書には、
(ウ)電子化の新たな波への対応
貴重書の電子化はしたものの、メタデータの不十分さ、検索機能の弱さなど、インターネット時代の電子情報の長所を活かしきれていないなどの欠点があることから、現在、そのデータは散在した状態にあるとの指摘がある。今後、こうしたデータを再整理し、後述する機関リポジトリに吸収・再編することで利用可能な状態にするなど、それらデータへのアクセス体制を確立・整備することが必要である。
と書かれていて、これって、まさに「後追い」なのでは?
しかも、米国電子化事情を、第1目的と第2目的の観点からしか評価してないから、後を追ってみて、つかまえてみたら、もぬけの殻だった、っていう話になりそうな気がする。追っているのは、ダミーの方だよ!こっちが気をとられている間に、本物は裏口から逃げ出していったよ!
これは一大事だと思う。だって、”大学図書館等ワーキンググループ”の第9回目に発言されているように、
知識の集積は国の力の根本であって、状況によっては他国がそれを囲い込むということもあり得る
のだから。
しかも、高野さんがこちらで言うように、
「データをたくさん持っている人の所には、GoogleやAmazonから、『何億ページビューをあげますからうちのエントリーに入れてください』などと魅力的な提案が来る。しかしそれでは結局、GoogleやAmazonに情報が集まってしまう」
日本はこんなんでいいのかな、